2011年12月13日「診療報酬の引き上げを求める緊急声明」を発表

診療報酬改定に関する緊急声明

            診療報酬の引き上げを求める緊急声明

                                            2011年12月13日

                                            全国医師ユニオン

 来年度の診療報酬改定に関して、財務省が厚労省に2.3%引き下げるように提案したとの報道がなされている。報道によればこれに先立つ財務省によるヒアリングにおいて医療側からも診療報酬引き上げの声はなかったとされている。

 しかし、医療崩壊と言われる現状が医療費抑制政策によって引き起こされたことは明らかであり、現政権与党のマニフェストにもOECD平均並みに医療費を引き上げることが明記されている。前回の診療報酬改定は、それまでの政権と異なり前向きではあったが微増にとどまり、医療崩壊から医療再生へ向かう抜本的な改革にはほど遠いものであった。多くの医師は医療の再生に診療報酬の増額は不可欠であると考えている。

 私たち全国医師ユニオンは勤務医の労働条件・労働環境の改善を掲げて、厚労省への要請行動などの活動を行っているが、勤務医の労働基準法違反はほとんど改善されていない。この労働基準法違反の大半は、長時間労働と時間外労働の不払いであり、とりわけ当直と呼ばれる時間外労働ではほとんどの医療機関で労働基準法にもとづいた正規の賃金が払われていない。この不払い労働は、24時間体制を担う勤務医への安易な過重労働の温床となっており、これら勤務医の意欲をそぎ、24時間体制を担う医師の減少を引き起こしている。そして多くの地域では過重労働に起因する医師の退職が病院の縮小や閉鎖の原因となっている。

 報道によると財務省は一般賃金や物価の下落を理由にして、医療費の削減を求めているが、私たち全国医師ユニオンは勤務医の賃上げを求めているのではなく、違法な不払い労働をなくすことを求めている。厚生労働省は勤務医の不払い労働に関する調査を行っていないため、実際の額は不明であるが、不払い賃金は2000億円近い可能性があり、病院経営の悪化が不払い労働の口実となっている。

 医療崩壊と言われる現状での診療報酬の引き下げは、さらなる医療崩壊を加速し、国民が必要な医療を受けられなくするものである。財務省は診療報酬の引き下げで1兆円の国民負担が軽減できるとのべているが、必要な医療提供ができなくなることで、国民負担が減るという考えは本末転倒である。日本の医療費は先進国最低であり、これを引き上げることで、崩壊が進んでいる日本の医療を再生することこそが求められている。

 私たち全国医師ユニオンは、民主党には政権政党として医療再生のマニュフェストを実行することを求めるものである。また財務省には今回の診療報酬減額の提案を撤回し、増額に転換することを強く要求するものである。また、厚労省には医療再生はもちろんのこと、勤務医への不払い労働を是正することが可能な診療報酬を要求するとともに、勤務医の労働基準法違反に厳しく対応することを求めるものである。