活動実績

2012/2/01

勤務医の過重労働の研究・提言が発表される 2012年2月

2012年2月勤務医の過重労動の研究・提言が発表される

 

以下のリンクからご覧ください。

 

 

社労士総研研究プロジェクト報告書(平成 24 年 2 月)

医療現場の労務管理に関する研究~勤務医等の過重労働を中心に~
先進国一人口当り医師数が少ない日本の医療再生について、各分野の専門家の力を結集してできた研究の結晶と提言です。
目次
報告要旨 ·························································· 1
序 章 医療崩壊の実態とマンパワー不足について ···················· 2
第1章 勤務医の労働時間の実態 ···································· 4
第2章 長時間労働の実態分析-勤務実態調査と是正勧告調査から- ········· 14
第3章 勤務医の負担軽減策として-医療補助職の可能性- ··············· 22
第4章 医療補助職の導入のために ································· 34
終 章 ··························································· 43

 

主任研究員
本田 宏 埼玉県済生会栗橋病院 院長補佐(外科医)序 章 終 章

 

研究員
江原 朗 広島国際大学医療経営学部教授(小児科医) 第1章
福島 通子 埼玉県社会保険労務士会 社会保険労務士 第2章
第4章
早川 佐知子 明治大学大学院経営学研究科博士後期課程 第3章第4章

 

医療現場の労務管理について
The Personnel Management in Medical Workplace

埼玉県済生会栗橋病院院長補佐,医師 本田宏
広島国際大学医療経営学部教授,医師 江原朗
埼玉県社会保険労務士会 特定社会保険労務士 福島通子
明治大学大学院経営学研究科博士後期課程 早川佐知子

[報告要旨]
 低医療費政策,高齢者人口の増加により,現在の我が国の医療提供体制は,国際的に見ても充実したものとは言えない状況にある。とりわけ,人手不足に伴って生ずる勤務医の過重労働は深刻なものとなっており,過酷な急性期医療の現場から離れる勤務医が増加することで,さらなる勤務医の不足を招くという悪循環が進みつつある。
 そこで本研究チームは勤務医の過重労働の実態を把握し,その原因を明らかにするために,?全国の都道府県立病院に対してなされた労働基準監督署の是正勧告の内容調査,?診療科,役職の有無,年齢,性別を異にする勤務医5 名に関するスケジュール調査,以上二つの調査を実施した。
 これらの調査から判明したことは,次の二点である。
 第一に,病院に対する是正勧告は労基法32 条,37 条の違反に関するものが圧倒的に多く,病院が行う勤務医の労働時間管理には,現在のところ大きな問題があるということである。具体的には,医師の当直業務が実態に反して労働時間としては扱われておらず,割増賃金が支払われていないこと,そして,そのまま日直に入り,32 時間を超える連続した長時間勤務が恒常化している実態などが浮かび上がり,憂慮すべき問題であると指摘できる。そのために,当直時間の扱いの見直し等を含めた労働基準法を遵守する姿勢を病院側に強く促すことが必要であると考える。
 第二に,スケジュール調査からは勤務医の携わる具体的な職務と時間が明らかとなったが,これらの中には医師以外の職種が担当することが可能な職務も多く含まれていた。それゆえ,今一度他の医療専門職種,事務職種を含めた職務の再考が必要であり,その上で,それぞれの職務が専門性を発揮することが可能となるチーム医療体制を築くことが,医師の過重労働を解消するひとつの手段になるであろう。現在の日本の医療現場において行われているチーム医療体制に関しては,それを円滑に機能させるための連携,調整を担う職種の重要性が看過されている。アメリカの事例を鑑みるに,Physician Assistant(医師補助職と訳)やNurse Practitioner(特定看護師と訳)といった専門性の高い医療専門職種がその役割を果たしていた。それらの職種は医師の職務の代替を務めることも可能であり,医師の過重労働解消にも貢献できるであろうことから,我が国でも導入を検討する余地があると考える。